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もう一回|保育の窓

 二歳児のK君が教具の部屋に入ってきて「ここで遊ぶー」と言ったので、私が「何をしようか」と一緒に棚のまわりをウロウロして、「玉通しする?」と聞くと「うん」と言うので、机に玉通しを出して始めました。通し方を紹介すると一つひとつ玉を通し、最後の一個まで全部通し、私が「できたね!」と言うとK君が「あおむしみたい! かわいい!」と、ひもの先を少し持ち上げました。そこで私は「月曜日、りんごを一つ食べました。パクパク……。火曜日、なしを二つ食べました。パクパク……。水曜日、すももを三つ食べました。パクパク……」と、そのあおむしで遊ぶと「もう一回するー」と言い、玉を抜いてまた最初から全部自分で玉を通し始めました。そしてまた最後まで通すと「あおむしみたい、かわいい」と言ったので私が「月曜日、りんごを一つ食べました。パクパク……」と繰り返し、合計六回、約二十分以上楽しみました。

 一歳から三歳くらいの子どもさんは「もう一回」が大好きです。「もう一回」は「楽しいよ! もっと一緒に遊んで!」の合図です。それを満足するまで楽しむことで「人と一緒って楽しい、人と関わることって楽しい、素晴らしいこと」と体全体で経験し、細胞に、脳に染み込ませていくのだと思います。この時期のそんな経験は一生の宝物になります。

 大人の方が飽きてしまったり、単純すぎてつまらなくなったりして「もういいでしょ」などとごまかしたり、気をそらしたり、はぐらかしたりすると、子どもさんは満足せずに不満が残るのです。

黒瀬能子